夕月の本棚

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プロットと画力で魅せるスリル感 『Monster』

日本のマンガって、本当に凄いと思う。

ジャンルのバラエティも豊かだし、プロットもしっかりしていて、絵もきれい…。

昨今では、小説よりマンガのほうが売れるというのも、仕方がないかな~と言わざるを得ない。日本の漫画は面白いんですもの。

しっかりしたプロットがあって、それを表現する画力があり、ドラマや映画より豊かな描写。

 

そんな一例がコレ。

浦沢直樹 『MONSTER 完全版』

 

ものすごく、本格ミステリー。

無茶苦茶面白いし、読むのを止められない。

しかも、完全版という弁当箱サイズでも、全9巻というボリューム。しかし、きちんとラストに向かって、物語が進行しているのが実感できて、心地良く没頭できます。

 

……これって、重要です。長いマンガの中には、終わる気がしないのもけっこうありますからね。伏線回収するどころか、伏線増えまくっている…みたいな。ムダに長ーく引き延ばされているのも、いただけないし。

 

まぁ、とにかく、浦沢直樹のマンガはプロットがしっかりしてて、テンポのよい秀作ばかりで、筆者は全てではないものの、けっこう読んでいるファンの一人です。

 

さて。

このマンガは、かの有名なアメリカンドラマ『逃亡者』から想を得たものだそうです。古いドラマですが、日本でも大ヒットしたらしいですし(筆者もリアルタイムでは知らない)、近年ではハリソン・フォードの映画化でも大ヒットしましたね。

 

 “リチャード・キンブル、職業・医師……” で始まるヤツですよ。……私の世代以上なら知っているだろう。

 

ということで、未読な人でもストーリーがわかった人はいるのではないかと思いますが、冤罪のスーパー外科医が、警察の追跡を逃れながら真犯人を追うという話。

 

ちなみに、マンガはドラマとは全然違いますからね。もちろん、犯人も。医者の逃亡…という設定以外は全然違いますから。

 

とにかく!おもしろいです。長編なのにスピード感が失われず、最後まで駆け抜けます。

 

そして、これはマンガでヨカッタ、マンガだから面白い……とも思っています。

 

ミステリーの場合、重要なのは、トリックより犯人の動機だと思うのです。そして、このマンガは、犯人の動機こそが重要。しかも、読者の考察は、文字以上に画によって、膨らませられる。

ちょっとした仕草や表情で、いろいろ考えさせられるのが、ミステリーとしての良さを引き上げています。

 

繰り返しますが、日本のマンガは凄い!

売れているものは、好き嫌いの個人的な趣味があるにせよ、確実に面白い!

 

筆者はマンガが大好きです。

そして!

浦沢マンガ!秀作です!

 

 

(2018年1月初出、2024年9月加筆修正)

 

 

→ビッグコミックスペシャル『MONSTER』全9巻

 大きい、重い……なので、Amazonがありがたいです

 

→電子版『MONSTER』完全版

 浦沢マンガの魅力は紙媒体にアリ!ですが、電子は場所を取らずに便利なので……

 

→ハリソン・フォードの『逃亡者』

 いやこれ、何度見ても面白いです

 

 

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