私は一年中、京都か奈良に行きたい人間です。
いっそ、住んでしまおうかと思ったこともありますが、思いとどまっています。
なぜなら、あそこは旅するところだから。
やはり、私にとっては、日常にはしたくない、特別な土地であって欲しいのです。
……もっとも、この数年はちょっと足が遠のいています。
コロナと、近頃のインバウンドで、なんか、ね。
そんな私ですが、春と秋の初めは、さらに「そうだ、京都に!」という思いが強くなる時期。
・・・理由は、特別なことではありません。
ただ、美しい季節だから。
それに、盆地の京都や奈良は、とてもじゃないけど、真夏と真冬はきついよね。最近は夜も涼しくならないし。
さて、それで、そろそろ旅がしたいムーヴメントが起きてきています。
いつだって、行きたい先の筆頭は京都。予定もきめず、ルーティーンのように、好きな寺や美術館、ギャラリーをぶらぶらするのが本当に好きなのです。
で、何度も行っているし、近頃はスマホもあるので、基本、ガイドブックはいらないのですが、旅にふさわしい本は持っていきます。土門拳の写真集(文庫)とか、この『京都世界遺産手帳』とか。
『京都世界遺産手帳』 河原書店(古本が高くなっていますが)
この本は、本当に素晴らしい!
ボックスに収納されて、京都に世界遺産の寺社17カ所が分冊になっています。
各本は文字通り手帳サイズの24ページ(並製・中綴じ製本)で、バックの外ポケットにもポンと挟んでおけます。
もちろん、もって歩くため。ちなみに、各手帳には、御朱印のページも設けられているという、細かい気配り(←だんだん興奮してきました!)
20ページ程度とはいえ、1冊まるまる、1つの寺社しか紹介しないという徹底した本です。
境内の全体図や、各エリアの拡大図がたくさん掲載されており、そのイラストマップは美しく、見やすく、詳細です。
寺社好きなら分かってもらえると思いますが、大きな寺社になると、歩いて回っていても、脇一つの道を見逃していたり、案内図をみて、もう一度道を戻ったり、結構迷ってしまう事が多いのです。
しかし、ここに掲載されている地図は正確で、見どころもきっちり解説してくれていますので、下調べの必要もありません。
この本をはじめて見た時、何度も行ったことがあるお寺なのに、行っていない箇所が結構あるな~と改めて思ったりして、家で眺めるだけでも、ものすごく楽しい。
……実はこの本のイラストマップは、私の友人である京都在住のイラストレーターが全て描いています。
編集を担当した方は、何度も現地に足を運び、作成したマップを丁寧に指示し、修正を加えたそうです。
イラストレーターいわく、編集者が「灯籠の数や、脇道の角度ひとつも見逃さないので、何度も書き直した・・・」とのこと。
まさに、京都の世界遺産の決定版!
それにしても、なんで世界遺産だけ?
その担当者がセレクトした、世界遺産以外の有名京都寺社手帳も作って欲しい!
京都の友人へ、ぜひ再版、ぜひ続編をお願いいたします。
(2011年3月初出、2024年9月加筆修正)
追記:この本が好きすぎて、ボロボロになるのを恐れた私。最近、スキャナーで取り込んで電子化しました。
文庫本サイズで、中とじの薄い冊子のため、断裁したりせずにできました(フラッドヘッドスキャナーとPhotoshop、Acrobatは必要だったが)。
おかげで、いつでもどこでも持ち歩きです(Fire 7で!)
追記2:小学館(2022年)の分冊百科『古寺行こう』にも、詳細な境内マップが掲載されていて優れものなのですが、A4ワイド版の雑誌ですから、持ち歩きには不向き。でも、いい本なんですよね~、これ。