文化の日ですね!
まぁ、祝日とか、秋の夜長とか関係なく、いつでもどこでも、良質な読書を推奨します!
各作家1作品として、海外が舞台の歴史小説(海外作家に限定していない)の、お気に入り作品をあげています。
歴史モノって、とにかく色々な分野で大好きです。歴史に忠実であろうとする小説と、荒唐無稽でも小説として面白くしているものでも、どちらも好きです。
いくら歴史を舞台にしていても、「小説」である以上、創作部分が重要なわけです。真実を知りたいなら、最新の研究成果を追いかけた方がよいですし。
素直に、歴史ロマンに浸りつつ、楽しめる方に・・・。ではどうぞ。
お気に入り歴史小説 定番のトップ5(何度でも読みたい!)
トップ5は私の中で長く不動です。もちろん、これらを超えるものがあれば、いつでも入れ替えますが……。
1位 私的には歴史小説に扉を開いた思い出深い作品。中国の前漢(紀元前3世紀)が興るまでが描かれます。今でもこの本の影響で、項羽と虞美人の悲恋に強い思い込みがあるくらいです。…それにしても、司馬遼太郎はこの時代くらいのものが特にいいと思います(生意気な言い方ですが)。
司馬 遼太郎 『項羽と劉邦』新潮文庫 全3巻
2位 とにかく大好き!映画も作られる度にチェックです。この本からはじまって、デュマのファンとなり、日本語版が出ているものは全て読破。三銃士のシリーズとなる『ダルタニアン物語』ももちろん、オススメですが、やっぱり、最初のこの『三銃士』が突出しておもしろい。
舞台はルイ13世とリシュリュー枢機卿のいるパリ(17世紀初)。銃士達の愛と冒険に、何度読んでも夢中です。
アレクサンドル・デュマ 『三銃士』岩波文庫 全2巻
3位 塩野七生さんのファンになったのは高校生のとき。以来、新刊が出る度追い続けています。その中でも特別なのが本作。歴史好きが倍増した高校時代の思い出です。
歴史小説に区分するのか迷いましたが、ノンフィクションのような緻密さで、15世紀の地中海における東西の衝突を描いた3部作。
塩野 七生
『コンスタンティノープルの陥落』『ロードス島攻防記』『レパントの海戦』
新潮文庫 3部作
4位 中世イギリス(12世紀)を舞台に、大聖堂建築という大事業に取り組む職人と聖職者を軸に、当時の政治情勢なども読ませる壮大な大河ドラマです。
ケン・フォレット 『大聖堂』ソフトバンク文庫 全3巻
→紹介記事はこちら
5位 古代エジプト、しかもラムセス大王…ということで、個人的に相当ポイント高くせざるを得ない。偉大なる大王の幼少期から大王への人生を描いた歴史ロマン。時代考証とか、歴史小説としては甘くなってしまう部分は否めませんが、夢中で読んでしまうエンタメ小説です。
クリスチャン・ジャック 『太陽王ラムセス』青山出版社 全5巻
お気に入り歴史小説 6位以下(文句なくおもしろい!)
○中国の清朝末期(19世紀)の西太后と光緒帝の諍いに巻き込まれた、貧しい兄弟の運命。清の王宮の末期の退廃的な空気感と人間模様を描いた名作。
浅田 次郎 『蒼穹の昴』講談社文庫 全4巻
○こういう人物がいたんだ、という歴史小説の楽しみ方ができた本。16世紀のオスマントルコ帝国で史上最大のモスクに携わる天才建築家の生涯を描く。
夢枕 獏 『シナン』中公文庫 全2巻
○中世ヨーロッパ(9世紀)に存在したという伝説の女性教皇の物語。実在したかどうかはおいておいて、男装の麗人が男社会で中世の闇に生き抜く様は、読み応え十分。
ドナ・W・クロス 『女教皇ヨハンナ』草思社 全2巻
○唐の高宗(7世紀)の後宮で成り上がり、最後は中国史上唯一の女帝へ。名高い悪女ですが、敦煌に作られた仏像は優美で、彼女の実像はどうだったか、昔から気になっているのです。
津本 陽 『則天武后』幻冬舎文庫 全2巻
○秦の始皇帝(紀元前3世紀)の人生を追い、興味はつきない。ただし古代中国は登場人物の名前や地名だけでもややこしいので、腰を据えて。
マンガの『キングダム』もいいですが、あれはまだまだ終わりそうもないですからね~。それにくらべて、こちらは一冊で、読み応え満点
塚本 靑史 『始皇帝』講談社文庫 全1巻
(2014年11月初出、2024年11月加筆修正)