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いつの時代も夢中にさせる冒険活劇 『西遊記』読み比べ

『西遊記』といえば、中国の古典の代表作の一つ。明代(16世紀)頃の伝奇小説と言われていますが、それは教科書のお話。

私は西遊記を薦めるにあたって、「温故知新」とか言う気もありません。単純に、中国を舞台にした冒険活劇であって、子供のころからのファンで、いつ読んでも面白いもの、として紹介したいのです。

 

それというのも、西田敏行さんの訃報を目にしたから。けっこうショックで。西田さんと言えば、「池中玄大」とか「女太閤記」「敦煌」とか、好きな作品は多いのですが、なんと言っても、西田さんは「猪八戒」です。

 

西遊記は日本でも本当に人気ある話で、ドラマや映画でも度々作られていますが、私は映像の西遊記は、このドラマを一番にあげます。

 

1.堺正章が孫悟空、夏目雅子の三蔵法師をしたテレビドラマ

子どもの頃、夢中で見ていました。懐かしさのあまり、DVD持っています。。。

 

ついでに、2番、3番も!

 

2.ボーイ・ジョージが三蔵法師をしたCM

きれいでビックリ。怪しい雰囲気が、今でも忘れられません。

 

3.ドリフターズの人形劇『飛べ!孫悟空』

久々に見たい!思い出したら、あの音楽「ゴーウエスト」のニンニキニキニキ…が頭のなかでヘビーローテンションになって脱せなくなってきた。。。

 

・・・です。どうですか?付いて来られる方、仲間です(笑)。

 

もちろん、伝統的な京劇のものも好きだし、映画『ドラゴン・キングダム』でジェット・リー(私はリー・リン・チェイと呼びたい)が無敵の孫悟空を演じたのも記憶に新しい…(私の理想の悟空だ!)。

ドラゴン・キングダム [Blu-ray]

 

ちなみに、あまり当ブログでは批判コメントを避けると決めていますが、これだけはあえて言いたい・・・香取慎吾が演じた孫悟空は、西遊記ファンとしては認められない(内村の沙悟浄は良かったけど)。おもいっきり頭の悪い悟空になっているし、だからといってコメディに徹するわけでもなく、薄っぺらい脚本だったから・・・好きな方、本当にごめんなさい。でも、コレしか知らない人がいたら、ぜひ本なり他のドラマなりも見て欲しい。

 

ああ、軽く西遊記の導入文を書くつもりが、書き過ぎました。。。

では本題(かな?)。私が過去によんだ『西遊記』のご紹介です。

 

まず、一番最初に読んだのが岩波少年文庫版です。

 

青少年向きっということで、読みやすさはNo.1でしょう。小学生の私が楽しく読んだ思い出深い本ですから。・・・とおすすめしたところで恐縮ですが、確か図書館で読んだと思うのですよ。私が小学校の時の行きつけ(毎週通った)図書館には、岩波少年文庫の棚があって、ずらっと並んでいたんです。それを右から左へと全部読んだという記憶があって、その中の1冊だったわけです。

当時のことだから翻訳者とかは覚えていないんですよね。ただ、すでに歴史が好きだったし、悟空達の冒険にわくわくドキドキしたことを良く覚えています。

 

その頃、母親に言われたことを良く覚えているのですが、大人向けのものは、児童書に直したものを読むより、大人になるのをまって原作を読んだ方がいいよ、と。子供心になんだか口惜しくて、大人の本だって読めるやい!と背伸びしようとしたら、慌ててまだ早いと止められたり。。。アルセーヌ・ルパンとか、明智小五郎のシリーズとか、ね。

 

で、中学生ぐらいになって、ようやく母の検閲が緩んだ頃、手に取ったのが現代教養文庫版です。この教養文庫は中高時代の私のお気に入りで、名著も多く、今は古書でしか手に入らないことが惜しまれます。

村上知行 訳 『完訳ー西遊記』 現代教養文庫 全3巻

 

この村上知行訳の西遊記は本当に読みやすく、名著だと思います。純粋に物語を楽しみたいなら、今のところこれに勝るものはないと思っています。文章のテンポがよく、登場人物たちの語り口も良い。初めて読むという“大人な方”は、こちらをおすすめしたいですね。

 

次に購入したのは、岩波文庫版。なんと全10巻です。

中野美代子 訳 『西遊記』 岩波文庫 全10巻

 

翻訳は、最初の三巻は小野忍、4巻以降は小野さんの急逝により、中野美代子訳(新しいものは、全巻中野版に改訂したものが発売)となっています。

こちらは、正直言って上級者向けです。なにしろ10巻だし、詩など、読み飛ばしたくなる衝動にかられたりもする。しかし、注釈だけでも読み応えがあって、本当に西遊記の世界に浸りたいなら、やはり手に取るべきでしょう。

 

最後に、ちょっと毛色が変わりますが、平岩弓枝の西遊記。

平岩弓枝 著 『西遊記』 文藝春秋社 全2巻

西遊記 上

西遊記 上

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前述の教養文庫や岩波に比べると、字も大きく、蓬田やすひろの挿絵も楽しくて、絵本のような気分ですいすい読める。あくまでも、平岩弓枝の小説として、悟空の成長物語を読むと、実に愛らしい物語と言えるでしょう。

 

(2014年12月初出、2024年11月加筆修正)

 

 

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