夕月の本棚

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ジャケ買い・・・に思うこと

本日は、人によってはホントにどうでもいいだろうことを、つらつらと書きたいと思います。本の装幀についてです。

 

ジャケ買い。。。というと、筆者の世代ではレコードのことでした。

今のCDと違って、昔のレコードは大きさがあって、ジャケットが本当にアーティスティックだったから。今でも、飾るならレコードだと思いますよ。

 

しかし、世の中がDC時代になったと思ったら、いまはダウンロード時代。

ステキなジャケットデザインをしていた、仲良しアートディレクターやデザイナーたちがだんだん寂しい感じになってきて。。。はぁ。

 

もはや、ジャケットデザインなんて、あってないようなもの・・・のような感じになっていましたが(今のものはデザインとしてツマラナイからね!!!)、今度は違うもので「ジャケ買い」という言葉が使われるようになっていました。

 

ジャケ買い=パケ買い・・・つまり、パッケージデザインだけで買ってしまうこと。。。

うーん。レコードジャケットとはちょっと意味合いが違うなぁ。パッケージのデザインと、レコードジャケットでは、デザインの姿勢が違うしねぇ。

 

・・・そんなことを思っていたら、ジャケ買いには「本」も含まれるようになりました!

 

確かに、昔から本は、装幀で買うというのはありますよ。筆者なんか、それで衝動買いしたことが、限りなく経験があります。

でも、ジャケ買いかぁ。。。ピンとしない言葉だなぁ。

 

この言葉、思うに、漫画家が本の表紙イラストを描くようになってからかなぁ。

もちろん、これも昔からあったのですが、ライトノベルとか、ファンタジーの文庫などが主体で、「文学」のイメージはなかったですからね。

 

ま、言うまでもないでしょうが、話題となったのはコレ。

 

太宰治 『人間失格』 集英社文庫

表紙の絵が『DEATH NOTE』の小畑健。ジャケット(カバー)を変えただけでバカ売れなんて、信じられない……。

すでに太宰治の著作権は消滅しているし、多少表紙にお金を掛けてもいけたんでしょうね。。。それにしても、よく企画が通ったなぁ。ジャンプの集英社だからだろうけど。。。

 

このジャケットが世にでたのが2007年。

以来、やたらと本の世界にもジャケ買いという言葉が飛び交うようになった気がする……。

 

新潮社のコレにも驚いた。

 

ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』 新潮文庫

・・・なんかカワイイ。おいおい、ヘッセだぞ。カワイイ・イメージなんか必要か?ヘッセのシリーズ、他にも『車輪の下』とか『デミアン』とか、みんな同じテイストですからね。。。

 

ま、いいんだけどね。これがきっかけで、文学を読む人がたくさんいたんだから。なにせ、今時ヘッセなんてはやらないものを、装幀を変えただけで、平積みになって、若い人に手に取ってもらえるなら、いいことだと思いますよ。私が違和感あるだけで。

 

・・・ちなみに逆もあって、装幀がゆえに購入をためらったケースもあります。内容は素晴らしいのに!!!

 

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』河出文庫

でも、これは本当の名著。これだけで1記事書かねばならないのですが(いずれ書きます!)、とにかくも、今年、筆者が勧めた本のナンバーワンです。

 

でもでも、表紙は嫌い。ロベルト・フェッリですね、原画。どうも、この手の現代絵画が苦手です。なんか気持ち悪い。わたしは本の表紙や背表紙に惹かれて、時に一目惚れして買ってしまうことも多いのですが、これは正直、話題の書だから、という理由で買いました。表紙はどうにも……まぁ、趣味の話ですがね。たまに、こういう気持ち悪い系の知的を歌う本があるよね。どうにも好きになれない。

 

重ねますが、名著です。電子版もあるので、ぜひ。

 

エディトリアル・デザインが大好きな筆者にとって、優れた装幀家は憧れの的。

本屋に行って、いろいろな装幀を見るのは愉しみの1つです。そして、もちろん、見た瞬間に心をわしづかみにされるものだってあります。

 

音楽がレコードからCD、そしてダウンロード時代になって、ジャケットに力を入れることがなくなりましたが、今は流行が繰り返されるように、レコードやジャケットに再注目されているようですね。

 

それと同様、本も電子書籍時代ですが、やっぱり紙はいいな~、この本は持っていたいな~、となって、ベストセラーがまた生まれてくることを期待したいですね。

 

 

(2018年5月初出、2024年11月加筆修正)

 

 

 

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