半世紀以上生きてきて今、かつてなく世情不安ですね。
ウクライナに中東、北朝鮮や中国の動向、アメリカの分裂、そして日本も陰惨な強盗続き……。
こういうとき、試されるのが報道。
日本の報道の自由度ランキングはG7最下位で180カ国中70位という、愕然とする数字で、さらに不安が増してきます。
でも、もちろん、日本にもスゴイ人がいますよね。自らも鼓舞する上で、そんな本をご紹介。
一人目は、“不肖・宮嶋”。
週刊文春の長年の愛読者ならお馴染みと思いますが、日テレのアナザースカイという番組(金曜23時~)にも2度ほどゲスト出演していましたね。
その番組でも、結構笑えないような話を、どこまでホンキなんだか、と笑わせてくれていました。
不肖宮嶋=報道カメラマン・宮嶋茂樹氏は、ふざけた人だなあと思いますが、間違いなく、日本で指折りの現役の報道カメラマンであり、数多くの歴史の目撃者でもあります。
死んでもカメラを手放さない人、本人曰く、
キナ臭いところに儂がいる、それともワシのおるとこキナ臭い?
“不肖・宮嶋” の本はたくさんあるのですが、あえて上げてみると、これはオススメ。
『不肖・宮嶋のビビりアン・ナイト イラク戦争決死行』
死と隣り合わせの現場を語りながら、なぜか笑ってしまう、ある意味凄い本です。
・・・戦場というテーマを忘れて(忘れてはいけないのですが)、普通に面白い本です。
近著ではこれですね。
『不肖・宮嶋最後の戦場 ウクライナ戦記』
さて、もう一人、ご紹介しましょう。
現在は引退されていますが、「大御所」の自叙伝です。
平敷安常『キャパになれなかったカメラマン ベトナム戦争の語り部たち』講談社文庫 全2巻
テレビ創成期にあって、ベトナム戦争の報道をした平敷安常氏の回顧録。第40回大宅賞受賞作です。
・・・ちなみに、現在は文庫本が出ていますが、筆者が持っているのは単行本。カバーはご本人の肖像写真ですが、カバーをめくると、戦争写真が。。。カッコイイ装幀です。
さて、本書は回顧録。そして、ご本人がそういっているからですが、これは報道です。
自身の経験を語っていきますが、それに加え、同じ体験を共にした仲間たちの記録やコメントをいれているため、戦場の生々しい感情だけではなく、さまざまな視点と客観性があるのが凄い。
上下2巻、なかなかの大作ですが、一気に読むというより、途中に間を空けてでもじっくり、向き合いながら読むことをオススメします。
実際、多くの人が読むべきでしょう。
私は一応編集者です。しかし、私の分野は主に、美術工芸・手芸などの実用書がメイン。
なんでもやりますけど、それでも、私のジャンルは「平和産業」を標榜しています。
一方で、報道ー特に戦場に身を置く人々にたいして、頭を垂れる自分がいます。
・・・もちろん、例え戦場に巻き込まれたとしても、「平和産業」を通したいとは思っていますが。
(2010年11月初出、2024年11月加筆修正)