谷川俊太郎さんがお亡くなりになりましたね。一度は会ってみたい方の一人でした。サイン会とか、機会があったら行きたかった。かなうことなら、インタビューしてみたかった。非常に残念です。
実は、谷川俊太郎さんの詩に猛烈に惹かれたのは、けっこう年をいってからです。
若い頃、乙女心には萩原朔太郎とか、西行が好き!とか言っていました。まぁ、自分に酔っている部分も否めませんねぇ。今も、お二方の詩が大好きですが、あの頃とは違う感覚です。感度が違うというか……。そして、ちょいちょい読みたいものでもありません。一方の谷川俊太郎さんの詩は、ことあるときに読みたくなるし、「今のお気に入りは?」と問われれば、谷川さんを筆頭にあげるでしょう。
きっかけは、昔のCM。
それで有名になったのが『朝のリレー』です。
とにかく、この詩は“つかみ”が凄い。
カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘・・・・・・
なぜカムチャッカから始まるのか。ロシア??
夢を見るだけなら、日本の子でもいいだろうに、カムチャッカ。
この地名の恐ろしいまでもインパクトと、そしてキリン。
次に「メキシコの娘は・・・ ニューヨークの少女・・・ ローマの少年は・・・」と続きます。
メキシコはバス待ちで、ローマは寝返り……とありふれた風景が続きますが、最初がカムチャッカでキリンの夢で、最後のローマの少年は朝陽にウィンクです。
若者、娘、少女、少年と、綴られていくのも、美しい風景を連想させ、なんとも感動的な文章の巧みさも感じます。
谷川さんの視線が地球を覆い尽くしているような壮大さと、同時に、朝焼けのすがすがしい美しさを連想してしまうのです。
はぁ、なんでこんな文章が書けるのか?
才能だけではなく、やっぱり努力もあったと思いたい……。
最初にCMでこの詩が流れたあと、慌てて谷川さんの詩集を手に取った。探しましたよ。どこに入っている詩なんだ?って。で、片っ端から手に取り、改めて、谷川俊太郎さんのファンになって、現在に至っています。
谷川俊太郎 詩選集 1 集英社文庫
全3巻ですが、こちらに「朝のリレー」が収録されています。文庫本で買うのもいいですが、電子版で買うとお手頃ですね~。タブレットにいつも持ち歩いていたいものです。
・・・それにしても、この詩は筆者が生まれる前のもの。もちろん、学生時代とかに詩集を読んだ記憶もあったのですが、ぜんぜん印象に残っていませんでした。あの頃は、読むというより、目を通しただけだったんだろうな。詩って、目で追うだけなら、あっという間にページが進むし、学生時代はバカみたいに本を漁っていたからなー。
訃報を目にして、何度目かわからないけど、谷川さんの詩の世界に漂っています。
末尾ながら、心より、ご冥福をお祈りいたします。
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追記。
どうでもいいことですが、筆者が会いたい有名人って、ほとんど文化人です。芸能人とかアスリートは、テレビで見てるだけでいいです。むしろ、リアルでは会いたくないです(ライターという仕事柄、少なからずの経験談です)。