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来年の注目を先取り? 『蔦屋重三郎 時代を変えた江戸の本屋』

年末ですね。ここの記事もクリスマス気分で乙女な本が続きましたが、年末くらい、もう少し骨太なものを。

・・・もし、読者に男性がいたら申し訳ないし……知人くらいだと思うけど。

 

といっても、単行本ではなくてムック。年末は忙しいですからね。どっしりした本は正月休みの楽しみにとっておいて、今は軽く楽しめる程度がいですよね。

 

『蔦屋重三郎 時代を変えた江戸の本屋』別冊太陽

 

ということで、蔦屋重三郎(以下、蔦重)ですよ。来年の大河の主役ということで、本がいろいろ出ているようですね。

1年間続く大河ドラマの主人公にふさわしいかどうか(1クールのエンタメくらいがぴったりな気もする)はさておき、伝記好き筆者としては、とっても魅力的な人物。まして筆者は編集者で活字中毒者、博物館大好き人間(学芸員の有資格者)なので。

そもそも「太陽」っていうだけで、もう欲しくなっちゃう。これは世代かな~。

 

でも、軽い読みものというほど軽くはない。とっても読み応えありで、おもしろい。他にも伝記とか蔦重ものの読みものは読んでいたけど、これは大判のムックで、図版も多いのがいい。この人をテーマにするなら、図版が切り離せませんし、このスタイルはベストです。

 

蔦重といえば、歌麿や写楽をイメージする人が多いと思いますけど、この本はがっつり生涯を追いかけ、吉原などもしっかり紹介しています。そして、写楽を始めとする、当時の文化人がどんどん紹介される。浮世絵だけでなく、当時の書物のキリヌキなどもたくさんあって、ホントにじっくり見ても飽きない楽しさ。

 

監修も蔦重の専門家、近世文化に関する著作も多い鈴木俊幸さんということで、内容にも安心感がありますね。

 

歴史好き、江戸もの好きなら、たまりません。

ああ、もう、大河はどうでもイイ。

 

ちなみに、もっとがっつり、もっと専門的にということなら、同じく鈴木俊幸さんの有名(?)な本があります。

 

『新版 蔦屋重三郎』鈴木俊幸

 

こちらはかなり硬派ですが、商売を学んだり、出版業を学ぶ人(もしくは筆者のような編集・ライター)は、必読ですね、たぶん。日本にも江戸時代に既にこんな人がいたということは知っておきたいものです。海外の経済学者ばかりを学ぶばかりでは芸がないですよ、日本人としては。

 

クリスマスが終わって、年末年始は、特に日本的なものが好まれる季節(笑)。蔦重で年越しも悪くないですね。

 

 

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追記。お知らせ。

年内の更新は本日が最後になります。

良いお年をお迎えくださいませ。

 

 

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