2025年最初の更新になります。
本年も、温かい目でご覧いただけましたら幸いです。
さて、年末年始は、PCに向かうこともなく、穏やかダラ~っと過ごしておりました。面白いテレビもないけど、なんとなく付けていて、気ままに飲み食いしていましたね。
でも、残念ながら、ホントにテレビはつまらなかったな~。筆者の若い頃は年末年始のテレビって面白かったと思うんですけど。深夜の名作映画の放送なんかも楽しみだったし。家族で朝から晩までワイワイ……でしたね。
でも、その中でもヨカッタのは、安定の面白さ「暴れん坊将軍」と、毎回必ず見る大河ドラマ。
今年は「べらぼう」ですね。蔦屋重三郎の話です。
なかなか、良いスタートを切ったのではないでしょうか。
今年の大河は期待です。
で、その大河と暴れん坊将軍を見たこともあって、猛烈に読みたくなるのが時代小説。もう、大好きなんです。
その中でも、今回は大河が吉原の火事から始まったこともあって、こちらを選びました。
隆慶一郎 『吉原御免状』 新潮文庫
30年以上前の本ですが、今も重版が続いており、もちろん電子版もあります。さすが、隆慶一郎。これって凄いことです。
さて、改めて隆慶一郎のことを触れておきましょうか。
筆者は隆慶一郎の大ファンです。
好きな時代小説作家と言えば、順位付けはできませんけど、池波正太郎と隆慶一郎、そして司馬遼太郎(晩年を外す)を3本指にあげるでしょう。
実はこの3人、1923年生まれの同い年……すごい年だ。しかしながら、隆慶一郎は、この名前での作家活動をしたのはわずか5年ということもあり、知らない人もけっこういるのです。
…たぶん、隆慶一郎の『一夢庵風流記』を原作とした、原哲夫のマンガ『花の慶次』のほうが有名かもしれませんね。。。
だから、隆慶一郎の最初の一冊は「一夢庵」がふさわしいかなとも思ったのですが、前述のとおり、吉原の話が良かったし、なにより、最初の1冊なら、これから読んで欲しい。続編に『かくれさと苦界行』もあります。
さて、物語ですが、宮本武蔵に育てられた剣士が、師匠の遺言に従って、江戸の吉原に赴き、そこで幕府の忍びである裏柳生と死闘を繰り広げることになる…というもの。吉原ができた本当のわけや、徳川家康影武者説なども織り込まれ、正史に書かれることのない、裏の歴史が描かれていきます。
ま、平たく言えば、エンターテイメント性抜群の剣豪小説…ということでいいと思うんですけどね。
…実は、裏の歴史、特に吉原の成り立ちについては、女性が読むと、ちょっと納得いかない部分もあると思うんですよ。筆者は特にフェミニストというわけではありませんが(完全な男女平等というなら、逆に不自然だとも思うし)、しかしながら社会の中で、女ゆえの理不尽さはそれなりに浴びてきていますからね。男の都合のよい解釈による「女性の描き方」には、やや眉をひそめる場面があることはつけ加えておきます。
ま、それを置いておいても、小説として無茶苦茶面白い。しかも、1度目よりも2度目のほうが、理解が深まって、一層面白いというのだから、すごい小説ですよ。
先に書いておきましたが、エンターテイメント小説です。歴史を深く考えるより、素直に楽しむのが、いいと思います。
そして、時代小説ファンなら、とりあえず、隆慶一郎、全部読まずにはいられなくなるかもしれませんよ。
大丈夫!!! 池波正太郎や司馬遼太郎と違って数は少ないですから、全部揃えても文庫本の本棚1列も埋まりませんよ。
・・・むしろ、それしかないことが、筆者には悲しい。
(2018年1月初出、2025年1月大幅に加筆修正)